ALSの患者から依頼があったとして、安楽死させた医師が殺人罪の容疑で捕まった。
海外では、尊厳死や安楽死が許されている国もある。
日本では、延命処置を希望しないまでで、尊厳死、安楽死はまだ許されていない。
尊厳死、安楽死について考えてみる
当事者が生きていても意味がない、価値がない、辛い、もう死にたいという場合は存在する。
難病により、どうしようもなく生きていることがつらいく、死にたいと言っている場合、その人の意志を尊重することも思いやりだったり、愛情だったりすると思う。
大切な人には、どんな状態になっても生きていてほしいと思う。
しかし、実際に苦しんでいる方には、ただ ただ つらい可能性もある。
そんな中、患者でない側のエゴで生き永らえさせるのも何か違うと思う。
他方では、難病でもなく、身体は健康な状態で、いくらでも解決方法がある場合に「世の中がつらい、絶望した、生きづらい」という方にも尊厳死や安楽死が適用されるのかという問題も出てくる。
対処方法がある場合、尊厳死や安楽死は適用されるべきではないと思う。
いくら本人の意志だとしても、それは、尊重できない。
「そんなこと言ったら、難病だって、いつかは、直せるようになるかもしれないじゃないか」
そう、その可能性もある。それを信じることも可能かもしれない。
それでも、現状、治癒することが困難で想像を絶する病には、絶望してしまいそうだ。
尊厳死や安楽死については非常に難しい問題だと思う。
自分が誰かに安楽死させてほしいと依頼されたら
まず、その依頼主が誰なのかによる。
家族やよほど大切な方であれば、依頼主の状態によっては遂行するかもしれない。
遂行する時は、自分のエゴや考え、世話がつらいなどではなく、依頼主の意志を尊重してと判断できる時だと思う。
おそらく、そこに至るまでにも多くの時間を費やす。
ただ、その時（遂行した場合）、法的に許されていないのであれば、自首すると思う。
きっと、お金も受け取らないだろう。
他人や普通の知り合い、友人であれば、私は依頼を受けないだろう。
なんとか、励ますだろう。なんとか、生きる意味を見出せるようにするだろう。
おそらく、健常者にいくら言われても空虚な言葉になるかもしれないが。
過去の関連事例
名古屋安楽死事件
被告人が重病の父の苦痛を見かね、母が父に飲ませる牛乳に毒薬を混入して安楽死させた事案。
wikipedia
判決は以下の6つの条件の内5と6の要件を満たさない（違法性は阻却されない）として、被告人に嘱託殺人罪の成立を認めた。
名古屋高等裁判所昭和37年12月22日判決が安楽死の要件（違法性阻却事由）として、以下のの6つの条件を示した。
1.不治の病に冒され死期が目前に迫っていること
2.苦痛が見るに忍びない程度に甚だしいこと
3.専ら死苦の緩和の目的でなされたこと
4.病者の意識がなお明瞭であって意思を表明できる場合には、本人の真摯な嘱託又は承諾のあること
5.原則として医師の手によるべきだが医師により得ないと首肯するに足る特別の事情の認められること
6.方法が倫理的にも妥当なものであること
東海大学安楽死事件
病院に入院していた末期がん症状の患者に塩化カリウムを投与して、患者を死に至らしめたとして担当の内科医であった大学助手が殺人罪に問われた刑事事件。
wikipedia
日本において裁判で医師による安楽死の正当性が問われた、現在までで唯一の事件である。
被告人を有罪（懲役2年執行猶予2年）とした。
医師による積極的安楽死として許容されるための4要件
1.患者が耐えがたい激しい肉体的苦痛に苦しんでいること
2.患者は死が避けられず、その死期が迫っていること
3.患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くしほかに代替手段がないこと
4.生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示があること
本件では患者が昏睡状態で意思表示ができず、痛みも感じていなかったことから1、4を満たさないとしたが、患者の家族の強い要望があったことなどから、情状酌量により刑の減軽がなされ、執行猶予が付けられた。
ALSについて考えてみる
ALSとは
筋萎縮性側索硬化症（ALS）は、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病。
筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経（運動ニューロン）だけが障害をうける。
ALSではあらわれにくい症状
- 眼球の運動に必要な筋肉は侵されにくい
- 泄に必要な膀胱、直腸の筋肉の障害は表れにくい
- 視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚などの知覚神経は侵されにくい
- 床ずれになりにくい
とされている。
徐々に身体の言うことが効かなくなり、運動ニューロンに関わることが自分1人ではできなくなる。
誰ひとり、1人で生きている人はいないと思う。
多かれ少なかれ、誰かや何かの、何らかの形でお世話になっていたり、影響を受けていたりすると思う。
「だったら、ほとんど何もできなくなっても良いじゃないか」と思う人もいるかもしれない。
しかし、多くのことが自分でできる状態と、ほとんど何もできない状況になり誰かのお世話になっている状態では、想像がつかないほどの違いがあると思う。
人間はいずれ、老化し生まれたばかりのように、あらゆることを誰かに行ってもらうようになる。
それが、老化するより少し早めに来たと思うこともできるかもしれない。
もし私だったらどのように思うか何を考えるのか色々考えてみた。
しかし、何を思っても考えても、自分が実際になってみないとわからない。
正直、想像でいくら考えてもそれは、偽りだと思う。
今回の事件で自分がどちらかの状態で関わったとしたらどうするか、何を思うか少し考えてみたのでした。
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